改善策
【メタボリックシンドロームに対するアンケート】
メタボリックシンドロームの改善は、基本的に「痛い」とか「辛い」といった自覚症状がないだけに、本人の意思が重要になります。40 代50 代の男女を対象に、「メタボリックシンドローム」の認識度と食生活を通じての予防意識をアンケートをとると、「メタボリックシンドローム」という言葉は、ほぼ全員が知っていて、その意味もよく知っている、あるいは、何となく知っている人は約6割を占めました。また、メタボリックシンドロームの予防、改善のために、食生活をいつも意識している、あるいは時々意識している人は、全体の75%以上となりました。ところが、正しい食生活をめざすものの、食欲に負けたり、規則正しく食べられなかったり、食生活管理の難しさに悪戦苦闘する人が多く、食べたいものを我慢できると答えた人は3%に過ぎませんでした。「メタボ」を連想しながら、男性はラーメン、とんかつ、丼ものなどを、女性ではケーキや甘味類が食べたくなるようです。ここに、メタボリックシンドロームの難しさがあるようです。
しかし検診や脳ドックなどで動脈硬化の危険が発見されたりすると、とたんに危機意識が目覚め、初めて本気で生活習慣の改善に取り組むようになるものです。死の危険を感じて平気でいられる人はいません。その意味でも毎年の健康診断はかかせませんね。
【改善策】
さて、メタボリックシンドロームの治療は「自覚症状の緩和」ではなく、この病態を長期間慢性的に持続させた結果として生じてくる合併症、動脈硬化の発生、進展防止に目標がおかれます。そのための脂肪蓄積の進行防止、解消を目的に食事療法による摂取カロリーの適正化と、脂肪燃焼を促す目的での運動療法が基本となります。
しかし、食事や運動といった生活習慣の改善では解消しきれない耐糖能異常、脂質代謝異常、高血圧などの危険因子に対しては、薬物療法を並行して実施する場合もあります。また、喫煙は個別の動脈硬化の危険因子であるため、禁煙も並行して行うべきとされています。
最近、「脂肪がとれてメタボに効く」などと銘打った商品がたくさん出回っていますが、こうした商品は検証不十分で、本当に効果あるかどうかわかりません。大事なのはご自身の不健康な生活習慣に気づき、一つひとつ改善していくことです。
① 運動
運動は内臓脂肪を減らすのに一番有効な方法です。厚生労働省の「健康日本21」によると、健康維持に最適な運動消費カロリーは1週間で2,000kcal、1日あたり約300kcalといわれています。また、活発な身体活動を行うと、血糖や脂質がたくさん消費されるようになり、内臓脂肪が減少しやすくなります。その結果、血糖値や脂質異常、高血圧が改善されて生活習慣病の予防につながります。
しかし、いざ運動を始めようと思うと大変そうでしり込みしてしまうかもしれませんね。運動は気軽に始めるのがコツです。メタボリックシンドロームの対策としての運動とは、日頃の習慣を少し改善するだけでも効果が期待できるものです。たとえば、歩幅を5センチ広げるとか、なるべく階段を使うとか、そのようなことでも効果があるのです。興味深いデータでは、東京の人の方が地方の人よりメタボが少ないそうです。その理由は、地方ではクルマをすぐ使ってしまい歩く機会が少ないのに比べ、都会では車ではなく電車を使うことが多いので、通勤までの間歩いたり、駅の階段を登ったり降りたりしているからではないかと考えられます。つまり、毎日の習慣の積み重ねが、メタボリックシンドローム対策につながるのです。ハードルが高いことに挑む必要はないのです。
体重60kgの人がやや早歩きのペースで、10分程度歩くと、およそ1000歩歩くことができ、このときの消費エネルギーは約30kcalになります。したがって1日300kcalを消費するには、1日で1万歩を歩けばいいわけです。歩数系などを使うと目標ができて楽しいものですよ。
② 食事
メタボリックシンドロームの改善において、食事はとても重要です。内臓脂肪がたまりやすい食事は、脂っこい高脂肪食、甘い高ショ糖食、食べ過ぎなどによる高カロリー食、そして緑黄色野菜の不足による低繊維食があげられます。
まずは食べる食材や、量を見直してみましょう。1食ではなく、1日単位、あるいは一週間単位で考えて調整すると良いでしょう。また腹八分目を意識し、少量で満腹感を得るために、ひと口20回ぐらい噛んでゆっくりと食べるのもコツです。
外食する機会が多い方は、カロリーを意識し、食材も野菜やキノコ、海藻など低エネルギー食品を選ぶようにしましょう。常に意識していれば、必ず摂取カロリーを落とすことができます。ただ、基礎代謝を維持するために、筋肉に必要なタンパク質だけは減らさないように注意しましょう。基礎代謝とは安静時におけるカロリーの消費のことですが、筋肉はその効果を高めます。
ところで、メタボリックシンドロームの改善としての食事療法は単なるダイエットではありません。外見を意識したダイエットの場合、皮下脂肪を減らすことがポイントで、これにはかなりの時間と運動量を必要とします。しかし、内臓脂肪は皮下脂肪に比べ、ダイエットの結果が現れやすいのが特徴で、その意味でやりがいもあるというものです。
食べ過ぎや欠食などの乱れた食生活は、内臓脂肪をためる原因になります。バランスのとれた適切な量の食事を心掛けるとともに、食事をする時間や食べ方などにも注意し、1日3食規則正しく食べましょう。
③ アルコールやたばこを控える
「百薬の長」とも呼ばれるアルコールですが、脂肪に変わりやすいというのをご存知ですか。また、おつまみには高カロリーのものが多くなる傾向があります。おつまみの品を工夫し、飲みすぎや食べ過ぎには注意したいものです。
また、「百害あって一利なし」といわれるたばこは、多くの有害物質を含み、健康にとってさまざまなリスクがあります。喫煙は、がんにかかりやすくするだけでなく、動脈硬化を進行させ、脳卒中や虚血性心疾患のリスクも高めます。したがって、メタボリックシンドロームの改善には、禁煙を実行する必要があります。
④ くすりによるコントロール
すでに、糖尿病や高脂血症、あるいは高血圧症になっている場合には、生活習慣の改善に加えて、薬によるコントロールが必要になってくる場合もあります。ただし、薬を飲んだから安心ということではなく、生活習慣を改善するという意識をもち、それもあわせながら行うことが大切です。
【生活習慣病予防及び改善に役立つサプリメント】
・コレステロール
メタボリックシンドロームの改善において、コレステロール値および中性脂肪値の改善が必要です。また動脈硬化の原因になるコレステロールの酸化を予防するためにビタミンC、E、コエンザイムA10などの抗酸化物質を摂取することが有効です。
コレステロールと言いますと悪者と思われがちですが、細胞を形作り保護する「細胞膜」や「ホルモン」、小腸での脂肪の消化、吸収に必要な「胆汁酸」の原料になるものです。コレステロール値が低いと、慢性胃炎からゆっくりと胃がんになるリスクが高くなるという報告もあります。
問題なのは、やはり過剰な摂取で、コレステロールを過剰な摂取が動脈硬化の原因となり、心臓病や脳卒中などのリスクを高めてしまうのです。必要なコレステロール量の 80 パーセントは体内で合成されます。したがって、食事からのコレステロール摂取は少量でも十分なのです。
コレステロールには、総コレステロール、HDL、LDL(悪玉)の3種類あります。このうち動脈硬化を進行させてしまうのはLDLコレステロールで、そのため悪玉コレステロールと呼ばれます。また逆に、動脈硬化を予防するのがHDLコレステロールで、そのため善玉コレステロールと呼ばれます。
本来、LDL コレステロールは細胞膜を作る材料としてコレステロールを全身の組織に運んでいます。しかし、それが多すぎると余分なコレステロールが血管壁に溜まってしまい動脈硬化の一因になってしまうのです。また、LDL コレステロールは活性酸素によって酸化されやすく、酸化すると血管壁を傷つけてしまいます。すると、白血球が引き寄せられ血管内に入り込み、コレステロールを取り込んで泡沫化し、脂肪をさらに蓄積してしまうのです。これが動脈硬化がはじまる原因です。
LDL コレステロールのなかでも小型の sdLDL コレステロールは、超悪玉コレステロールと呼ばれます。なぜなら血中での滞在時間が長く、大変小型なので血管の内皮細胞の隙間から内膜に進入してしまい、さらに大変酸化されやすい性質を持っているからです。
これに対してHDLコレステロールは過剰なLDLコレステロールや、血管に付着した余分なコレステロールを引きはがし、肝臓に運び再利用させる働きをします。また、HDLコレステロール値が低いと中性脂肪値が上昇し sdLDL コレステロールが増える傾向があることもわかっています。したがって、動脈硬化の予防にはコレステロール値のバランスが大切になってきます。つまり、LDLコレステロールの酸化を防ぎ、LDLコレステロールを減らし、HDL コレステロールを増やすことです。
酸化を防ぐには抗酸化物質の摂取が効果的です。血液中では水溶性、血管組織やコレステロールでは脂溶性の抗酸化物質が働きます。水溶性抗酸化物質のサプリメントとしては、ビタミンC、クルクミン(ウコン)、カテキン、松樹皮エキスなどが良いとされます。また、脂溶性抗酸化物質のサプリメントとしては、ビタミンE、コエンザイムQ10、アスタキサンチン、Βカロテン、リコピンなどが良いとされます。
また、LDLコレステロール値を下げるサプリメントとしては DHA、ビタミンB群、水溶性食物繊維、大豆タンパクなどがあります。女性の場合は女性ホルモン分泌の低下がコレステロール値上昇をまねくことが知られています。更年期、閉経後の女性はイソフラボンなどエストロゲン様物質を摂取したほうがよいでしょう。コレステロール値を正常に保つことに役立つものとしては、ギャバ、クロム、ビール酵母などがあります。
・中性脂肪
中性脂肪とは身体のエネルギー源です。肝臓の中で糖質や脂肪から作られ、血液で体中に運ばれていきます。余った中性脂肪は脂肪細胞に貯えられます。この中性脂肪が高いと、動脈硬化が促進されることがわかっています。もし、内臓脂肪型の肥満で、中性脂肪値の他にコレステロール値、血糖値、血圧のいずれか一つに問題があれば、メタボリックシンドロームの仲間入りです。すぐに改善することが必要です。
糖質や炭水化物の摂取の多い人に中性脂肪値の高い人が多くみられます。というのは、ブドウ糖、果糖といった単純炭水化物の摂取が多いと、インスリンの働きで中性脂肪が多く合成されるからです。またアルコールの摂取量が多い人も、中性脂肪値の高い人が多くみられます。これは飲酒が原因で肝臓がアルコールの分解に忙しくなると、同時に中性脂肪を合成する働きも活発になってしまうからです。
改善には、まず中性脂肪をエネルギーとして消費する運動が必要です。また食事で糖質、炭水化物質を摂りすぎていないか、アルコール摂取が多くないか、生活習慣のチェックと改善が必要です。中性脂肪値が高い場合、超悪玉コレステロール値が高い傾向がありますので注意しましょう。
中性脂肪が気になる人のためのサプリメントとしては、共役リノール酸、DHA、ローヤルゼリー、イソフラボン、黒酢、ビタミンB群などが中性脂肪値を下げる働きをします。また、中性脂肪値の正常化するサプリメントとしては、クロム、ギャバなどがあります。
【ウエスト日記】
生活習慣を改善するために、「ウエスト日記」をつけてみるのも良い方法です。毎日のウエスト径や体重の変化をチェックすることで、生活習慣の反省点を見つけることができますし、ウエスト径の減少に成功すれば達成感が得られます。
また、最近は体脂肪が計れる体重計なども売られていますので、そのような体重計を利用し、1日1回、ウエスト径、体重、体脂肪などを測定し記録します。また、歩数計を使い一日の歩数を書き込みます。また備考欄に頑張った点や反省点を記録し、これをいつも目につくところに張っておくと、楽しみながらチャレンジできるかもしれません。